2016年11月12日土曜日

求む、次世代モンスタータブレット

今週の水曜日、虎ノ門ヒルズフォーラムで行われた、インプレスのネットショップ担当者フォーラムのイベント「ネットショップ担当者フォーラム 2016」で喋ってきました。

同じ場所で一昨日の11月10日、日本マイクロソフト主催のイベント、「Windows Innovation Day」が行われていました。


昨年僕が企画と運営を担当した「Windows 10 Partner Device Media Briefing」の2016年版というところです。YouTubeにどういうわけか昨年のイベントの動画が公開されていました。動画撮影&公開O.Kなんでしたっけ?




去年はWindows 10が公開された年でもあり、その年の年末商戦に発売されるWindows 10搭載PCを一堂に集め、年末商戦を一緒に盛り上げていこうという意味合いのイベントでした。

企画と運営をほとんど僕1人でやっていたので、イベント前3週間は毎日AM 3:00~4:00ぐらいまで会社で仕事をして、朝タクシーで帰宅して1~2時間仮眠を取り、お風呂に入ってそのまま出社するというのの繰り返しで、週末も会社で仕事をしていました。とにかく時間が足りなかったのです。

今年の「Windows Innovation Day」は上にリンクを貼った記事にある通り、Windows 10搭載デバイス、Windows Hello対応サービス、Xbox One S、そして新作ゲームタイトルと発表が多岐に渡っていて、ニュースでしか見ていませんがとても良いイベントになったような気がします。

あの場所に居れなかったことは残念ですが、年末商戦に向けて良いスタートが切れたのではないでしょうか。

さて、本イベントではVAIOさんが攻殻機動隊S.A.Cシリーズ等で有名な、神山健治監督とのコラボを発表していたようです。プロモーション動画がこちらのWebサイトに公開されていますので、ぜひご覧ください。

VAIO meets ひるね姫

使われているのはVAIO Z Canvas


以前Surface Studioのエントリーを書いたとき、SONY時代のVAIO Tap 21を意識しているのではないかと書きましたが、VAIO Z Canvasの思想の方がむしろSurface Studioに近いのかもしれません。

このVAIO Z Canvas、1年以上前に発売されていて、かつCPUは第4世代のCoreプロセッサーながら、一般的な薄型ノートPCや2in1に搭載されているデュアルコアのUシリーズではなく、クアッドコアのHシリーズ (Core i7-4770HQ) を搭載しています。

そしてこのCore i7-4770HQですが、GPUもインテル製内蔵GPUの中では最速のGT4eを採用していて、AMD/NVIDIAのミドルクラスのGPUとまではいきませんが、ローエンドGPUぐらいの性能が出ます。

それをSurface Proシリーズのような2in1の筐体で実現しているモンスターマシンなので驚きなのですが、いかんせん価格が高すぎたのと、時代を先取りし過ぎていたように思えます。

それが来年春に公開されるWindows 10の大規模アップデートである「Windows 10 Creators Update」ではペン対応がさらに強化され、またアプリケーションレベルでもAdobe CCをはじめ最適化が進んでいます。

僕はもう1回VAIO Z Canvasは復活させるべきだと思います。できるならば13インチと27インチ。そしてどちらにもdGPU (CUDAを使いたいので、できればNVIDIA) を載せて欲しいものです。

前者は熱設計が厳しいと思いますが、CPUはデュアルコアのUシリーズで良いのではないでしょうか。その代わりメモリーは32GBまで選択できるようになってほしいです。

タッチ&ペン対応というのはWindowsデバイスのMacに対する大きなアドバンテージだと思います。まだOSでも完全に最適化されておらず、またアプリも対応アプリは限られていますが、方向性としてWindowsがクリエーターに寄り添ったOSになっていくのであれば、あらためてクリエーター向けの最高のツールとしてのVAIOが欲しいです。

2016年11月5日土曜日

吾輩は自称「VAIOのアンバサダー」である。

今回はVAIOの話です。

僕は自宅と会社でVAIO Zのクラムシェルタイプをそれぞれ使い、VAIOをこよなく愛する自称「VAIOのアンバサダー」です。愛するが故に心から応援していますし、時々厳しいことも言います。

さて、VAIOの新しいCMがYouTubeで流れています。


この「圧倒的なタフネス篇」のほかに「どこでも“最適” オンライン篇」、「VAIO 静寂キーボード篇」と合計3本の動画CMがあるようです。

主演は映画「シン・ゴジラ」で尾頭 (おがしら) ヒロミ役を名演した市川実日子さん。旬の俳優で、シン・ゴジラのモメンタムに乗った良い人選だと思います。

参考までに、togetterより。
VAIOの新CMにシン・ゴジラの尾頭さん!?どう見ても…だけど微妙にキャラ違うとの意見も

CMのクオリティも、SONY時代のVAIOのCMとはテイストが大きく変わった前回の手塚部長 (手塚とおるさんが主演) のCMと同様、製品の価値をストレートに訴求していて良いと思います。

ただ個人的にどうかなと思う点があります。まずは上に挙げた「圧倒的なタフネス篇」。

「アジェンダ」、「コンセンサス」、「オポチュニティ」と、日本マイクロソフト社員の多くが日常会話で自然に使っているルー大柴語で、ついニヤリとしてしまいます。

で、13~15秒の時点で机に置いてあるノートPCをお尻で踏んでしまい、ノートPCの天板にひびが入りますが、このノートPC、おそらくそれなりにPCの知識があるビジネスマンから見たら、堅牢性ではピカ一のLet's noteに見えてしまうのですよね。

VAIOS13はビジネス向けPCなので、同じくビジネス向けにターゲットを絞っているLet's noteを狙って仕掛けているのだと思われますが、相手がいささか悪いような気がします。

というのも、Let's noteはもう何年もかけて堅牢性をブランディングしてきたわけで、そう簡単に崩せる相手ではないと思うのです。

そしてこれは個人的な想いになりますが、VAIOにはMacを仮想敵国として戦って欲しいのです。とはいえ、一般的な大企業のオフィスにMacが入っていることはないので、結局はWindows PC同士のシェアの奪い合いになってしまうのでしょう。


そしてもう1つ気になったのがこちら。16秒が経過したところで、「Wait. She is not VAIO (よせ、彼女はVAIOじゃない。」と日本人の男性が言っていますが、普通の英会話だと「Wait. It's not VAIO.」ではないでしょうか。もしくは、「She's not using VAIO.」とか。

推察するに、彼女自身をやかましいPCに見立てて、あえて「She is not VAIO」と言っていると自分を納得させています。

CMの話はここまでにしましょう。

先月27日にMacBook Proの新製品が発表されました。既に発売も始まっています。


私はWindowsをこよなく愛するWindows PCユーザーですが、中立的な視点でデバイスとして見るととても良くできていると感心します。

500ニットとPC史上最高クラスの輝度で、DCI-P3の色域をカバーする美しいディスプレイ、そしてWindows PCの一歩先を言っている感圧式タッチトラックパッドと、以前から定評のある気持ちの良い打鍵感のキーボード。

なにより、Windows PCのWindows Helloよろしく、iPhoneにも搭載されている指紋認証のTouch IDを搭載してきました。スマホでは当たり前の機能ですが、これに慣れてしまうとパスワードはおろかPIN入力をするのもばかばかしくなってきます。

インターフェースがThunderbolt 3のみになったのは賛否両論ありますが、短期的にはともかく、長期的に見たら正しい選択でしょう。ただSDカードスロット削除は驚きました。

ちなみに、今回MacBook Airの発表はありませんでしたが、大安売りが始まっていることを考えると販売終了でしょう。

今後MacBook Airの11インチ、13インチモデルは、12インチのMacBookと12.9インチのiPad Proに取って代わられると思いますし、MacBook Airユーザー (中でもスタバでドヤ顔をしているユーザー) がやっていることと言えば情報消費のみ (Webブラウズ、SNS) で、それはもはやOS Xでなければいけない必要はないからです。

価格的には148,000円からですが、これはスペックを考えたら十分安いですから、きっと売れるでしょう。唯一新型MacBook Proに対して言うのならば、1.3kgを超える重さで「ポータビリティ」を語ってくれるなよということぐらいです。

話をVAIOに戻して、VAIOのポートフォリオでMacBook Proと正面からぶつかるのは、私の持っているVAIO Zのクラムシェルモデルになるでしょう。


これはVAIOさんのWebから拝借したZのポジショニングです。対Macで考えると、モビリティに特化した12インチのMacBookと、パフォーマンスに特化した13インチのMacBook Proの中間に位置していると思います。

簡単に比較表を作ってみました。正しく比較できるようなるべくスペックは合わせています。


VAIO Zが今キャッシュバックキャンペーンをやっていますが、それでも新MacBook Proが安い! MacBook Proには23,800円かかるAppleCareが入っていないので、3年保証のVAIOがやや不利に見えますが、同スペックなら今やMacの方が安いこともある、これが現実なのです。

とはいえ基本スペックはVAIOも見劣りしないです。バッテリー駆動時間もそうですし、特に200gの重量の差は、実際に持ち歩いてもらうとわかりますが、非常に大きいです。

しかしWindowsノートPCのフラッグシップであるべきVAIO Zには、現状に決して甘んじて欲しくないものです。

もっとも去年2月に出たばかりなので、そのフラッグシップモデルをたった1年でモデルチェンジしろとはブランディングの観点でも、ROIの視点でも言いづらいです。また、第7世代のCoreプロセッサー (Kaby Lake) はGPUの動画再生支援機能の強化とクロック向上以外はあまり大きな性能向上がなさそうなので、CPUを載せかえる意義もあまり見いだせず、難しい時期ですね。

僕がもしVAIO Zのプロデューサーだとしたらどうするでしょう。1つはKaby Lakeをすっ飛ばして、2017年は現行モデルで売りつつ、第8世代Coreプロセッサー (Cannonlake) まで待つ。もう1つは現行モデルのフレームやパーツをなるべく使いまわして部分的にマイナーチェンジし、2017年の春をターゲットに出すかのどちらかでしょうが、たぶん前者を選択しそうです。

いずれにしても、ビジネスモバイルの最高峰という今のポジショニングを踏襲するのは良いとして、プラスアルファでMacBook Proに取られているクリエーター層にもアピールできる製品になって欲しいです。そのためにはAMDやNVIDIAのdGPUを絶対に搭載して欲しいですね。

以下がToDoリスト。
  1. クアッドコアCPUの搭載 (噂されているKaby Lake-Uの最新モデル?)
  2. dGPU (できればGTX 1050Mクラス) の搭載
  3. メモリー32GBを選択できるように
  4. Windows Hello (指紋認証) 対応
  5. ディスプレイの品質向上 (10bit、DCI-P3/Adobe RGB)
  6. HDMI 2.0ポートの搭載
  7. SDカードスロットのUHS-II対応
  8. Thunderbolt 3ポートの搭載 (※1ポートもあれば十分?)
  9. ヘッドホン出力の音質向上 (ハイレゾ対応で)
  10. 純正アクセサリーの拡充
  11. LTEモデルのラインナップ追加
  12. 15インチディスプレイモデルのラインナップ追加
  13. 重さ1.10kg未満へ
対象ユーザーはよく海外出張をするようなビジネスエグゼクティブや、場所を問わずフレキシブルに働くセールス・マーケティング担当をはじめ、クリエイティブ層では主にフォトクリエーターやWebディレクターといったところでしょうか。

たとえばフリーアドレスのオフィスで、ノートPC + 拡張ディスプレイ (UHD/WQHD) のデュアルディスプレイ環境を構築して仕事をしているユーザーに最適なノートPCを。

言うは易しですが、こよなくVAIOを愛するいちユーザーとしては、次なるモンスターの登場に期待するや切であります。

それと、そろそろVAIO印のデスクトップPCも見てみたいです。可能であればVAIO印のゲーミングPCもですね。次回機会があればゲーミングPCについても書いてみます。

2016年11月2日水曜日

Surface Studioの衝撃


Surface Studio (サーフェス スタジオと呼ぶか、サーフェス ステューディオと呼ぶかは、まだMSKK内で決まっていないとか...)、衝撃的なデビューでした。

日本マイクロソフトの最後の1年間、僕はOEM統括本部でWindowsデバイスのポートフォリオマネージメントを仕事の1つにしていました。

どういう内容の仕事かというと、フォームファクター、画面サイズ、スペック、価格でセグメントを分けて、どのセグメントがWindowsは強くて、どこを競合にやられているのか、どのセグメントに成長の可能性があるのか、どのセグメントを攻めていくべきかをアナリストのように徹底的に調べ上げて、レポートにまとめます。

Surface Studioは僕がまさに出てきて欲しかったデバイスなのです。でも、できればOEM (= Original Equipment Manufacture、要するにNECや富士通等のPCメーカー) からもっと早く出て欲しかったというのが本音ですが。

日本国内にあるPC (純粋なタブレットは含まないが、Surfaceのような2in1は含む) のWindowsシェアは、コンシューマーで87~88%、企業では95%ぐらい。特にエンタープライズと呼ばれる大企業内のWindows PCのシェアは99%ぐらいになります。俯瞰してみると日本はそれぐらいWindowsが強く、世界でも稀な国です。

そりゃ企業の情シス視点で見たら、デバイスは統一したいので仕方ないですが。

しかしこれをセグメントで分けると、いくつかのセグメントではAppleに負けています。たとえば画面サイズで11~13インチではMacがトップシェアです。また、AiO (All in One) と呼ばれる一体型のデスクトップPCの中でも、15~20万円台の価格帯においてはiMacのシェアがWindowsのAiOを上回っています。

前者に関しては、Surfaceシリーズが登場し、OEMもようやく薄型のノートや、Surfaceクローンの2in1のラインナップが揃い始め、反転攻勢の準備が整いました。

これが後者になると、たしかにOEMからもAiOはたくさん出ていますが、価格やスペックで対抗できる機種がほとんどないのが実情で、特にスペック面では27インチiMac Retina 5Kに価格性能比で比肩できる、そしてクリエーターを意識した製品が1つもなかったのです。

プロのクリエーターは無数に存在するわけではないので、クリエーター向けの製品はたくさん売れるわけではありません。しかしクリエーターはインフルエンサーであり、著名なインフルエンサーが使うことでブランディングに大きく貢献します。それこそひと昔前のナイキのエア ジョーダンを思い出してみてください。

国産メーカーのAiOは、ただデスクトップPCをモニター一体型にしたものがほとんどで、GPUもAMDやNVIDIAのディスクリートGPUが載っていなければ、メモリーも8GB~16GB、さらに液晶モニターも写真や映像編集に向いたスペックのものではありませんでした。逆にテレビチューナーのような情報消費のための機能がいつまでも載っています。

MS本社のSurfaceチームもこんな状況に辟易していたのではないでしょうか。

もっとも、Surfaceの存在意義の1つはApple対抗でありますので、MBAにSurface Pro、MBPにSurface Bookをぶつけることはもちろん、iMacに対しても何かいずれ当てるつもりであったのでしょう。

しかし発表されたSurface Studioは「iMacのシェアを奪うために作られたデバイス」という範疇に留まらない、とんでもないデバイスでした。

ご参考までにSurface Studioのスペックはこちらにあります。
https://www.microsoft.com/en-us/surface/devices/surface-studio/tech-specs

まだ日本のサイトには載っていませんので英語版です。日本での発売に関してはこれから発表されると思います。

これを見て、「なんだ、液晶が柔軟に動くデスクトップパソコンか」と思った人は首が相当凝っていますね。

ためしにGIZMODOのレビューを読んでみてください。

「Surface Studio」ハンズオンレビュー:試して分かるその価値
http://www.gizmodo.jp/2016/10/surface_studio.html

私に言わせれば、これは「デスクトップPCにもなる液タブ (液晶ペンタブレット)」であり、まったく新しいカテゴリーの製品です。

Surfaceが掲げていた基本コンセプトってなんでしたっけ? それは即ち、「紙を置き換える」こと。

だからSurface Proの初代からペン対応で、Surface Pro 3でA4の紙と同じくアスペクト比は横3:縦2になり、Surface Pro 4で筆圧も1,024段階になって書き心地も大幅に向上しました。

そのコンセプトはSurface Studioでも不変です。

「iMacの真似」とか「iMacを意識している」という人がいるのですが、それはやや信者として自意識過剰ではないでしょうか。

たしかにAiOの先駆けは1998年に登場したiMacです。Surface Studioも調査会社におけるカテゴリーはAiOになるはずなので、そういう意味で真似と言われればそうなのかもしれません。

ただ、Surface Studioの開発者たちは、iMacからシェアを奪うつもりで作っていても、そのものを真似ようとして作ってはいないと確信しています。

あえて意識しているといえば、むしろこちらのデバイスのではないでしょうか。


SONYのVAIO Tap 21です。

このデバイスが2013年に出たとき、MS本社もかなり注目していたことを覚えています。

そして、SurfaceのトップであるPanos Panay (パノス パネイ) のプレゼンテーションを観ると、Surface Studioの目指している方向性がわかります。英語ですが、わかる人は彼の話している内容をよく聞いてみましょう。


ちなみに、パノスは今私がもっとも注目しているMSのエグゼクティブで、私がプレゼンの師として勝手に崇拝している人でもあります。

彼は元々キーボードやマウスなどのMS純正ハードウェアを率いていたそうですが、今やMSのハードウェア開発すべてを統括していて、Xboxにも関わっています。

彼が実際どのぐらい関わったかわかりませんが、Xbox One Sもバランスの取れた素晴らしいハードウェアになっていますよね。

彼についてはこんな記事もあります。
「Microsoft Surfaceの父」プレゼンのジョブズっぽさが半端ねー件

偉い人ですが、とっても気さくでナイスガイだそうです。

話をSurface Studioに戻しますが、Surface Studioは「iMacを意識した」デバイスではなくて、「クリエーターを意識した」デバイスです。

クリエーター、とくにIllustratorやPhotoshopを扱うようなプロ・カジュアルクリエーターが、製作工程のすべてをこれ1台で賄えるように、そして彼等の生産性や創造力を高めるために開発されたデバイスです。

たとえば気づいたことをメモ書きする、ドラフトをラフスケッチする、デザインする、モデリングする、レンダリングする、動画に書き出す。それらすべてをこの大きなキャンバスでペンとタッチ、そして新しいSurface Dialで実現して、新しい創造のかたちを提案しようとしています。

決して安いデバイスではないし、万人向けのデバイスではありません。だからたくさん売れるデバイスではないのです。それでも北米では全モデルの年内出荷分が売り切れだそうですが...

とはいえ、冒頭の動画がたった24時間で (たぶんYouTube広告でまだ誘導していないはずです) 数百万回再生されているように、非常に注目されています。

最後に簡単にスペックについてまとめたいと思います。

まずCPUは第6世代のCore i5/i7。Hシリーズというモバイル用のクアッドコアCPUです。なんで第7世代のKaby Lakeじゃないの?と言う人が居ますが、まだインテルから第7世代のHシリーズは発表されていないんだから当然でしょう。

GPUはNVIDIAのGeForce GTX 980M/965Mです。こちらもなんでGTX 1080M/1060Mじゃないのと思う人が居るかもしれませんが、これは単に設計を開始したときにまだGTX 1000Mシリーズがなかったからだと思います。私が思うに、Surface Studioは相当前から開発が始まっていたはずです。

ちなみに、GTX 980MならばフルHDでもFFXIVは快適に動くと思いますが、965Mだと60fpsをキープするのは難しそうです。とはいえ、いずれマイナーチェンジでGTX 1000Mシリーズに置き換わると思います。

さて、Surface Studioを見て、OEM、特に大手OEMの方々はどう思ったでしょう。

僕個人の意見としては、ぜひデータを消費するためのAiOではなくて、物を創り出すためのAiOを、本気で創造活動に従事している人たちのストレスを限りなく低減して、まったく新しいものを創り出すためのAiOをもっと出して欲しいと思っています。

PCは消費も創造も両方できるデバイスですが、前者は今やスマホにとってかわられているわけで、そこばかりを追求するデバイスばかりを出していても何も変わりはしません。ゲーミングPCは少し事情が異なりますが。

ぜひVAIOやマウスコンピューターといった国産メーカーで尖ったデバイスを出すOEMには頑張ってもらいたいです。

最後の最後ですが、Surface BookやSurface Pro 4の後継機種 (Surface Book 2? Surface Pro 5?) は何か尖ったことをやってくるような気がしてなりません。おそらく年内の発表はなく、来年のしかるべきタイミングだとは思いますが、きっとただの正常進化に留まらない何かがあると確信しています (ただの妄想ですが、最近読みがよく当たるので...)。

2016年10月22日土曜日

たまには食事ネタ (飯テロ注意)

昨日はマイクロソフト時代から仕事でお世話になりつつ、プライベートでも仲良くさせていただいているソニーミュージックの槇さんを、お気に入りのフレンチレストランにご案内しました。

ラ クレリエール
https://www.la-clairiere.tokyo/

もともとこの場所には「ラシェリール」というフレンチの名店が入っていて、時々お世話になっていたのですが、オーナーシェフのご都合により閉店しました。

ラシェリールのシェフは著名な「モナリザ」ご出身だったのですが、同じくモナリザ出身で、恵比寿本店の料理長をも務めた柴田シェフがオーナーシェフとしてラ クレリエールを同じ場所にオープンしました。

以前初めて伺った際にあまりに感動してしまったので、私の良き理解者である槇さんを連れて3人でディナーに行ってきました。


まずこちらは前菜の前のアミューズ。鮭のちゃんちゃん焼きに見立てています。


同じくアミューズで、こちらはキャビアを乗せた可愛いコロッケ。


バケットを乗せる器はなんとヒノキ! 穴にはオリーブオイルが入ります。


前菜その1、釧路産秋刀魚と秋茄子のヴァリエーション黒七味のアクセント。脂がたっぷり乗ってプリプリの秋刀魚です。今が旬の食材ですね。


前菜その2、秋の味覚をのせたどんこ椎茸の笠焼ソースキャフェドパリ。肉厚たっぷりの椎茸に、銀杏をはじめたくさんの食材が乗っています。


前菜その3、こちらは2品から選択できるうちの1品で、松茸が入った不思議なお料理です。綺麗ですね。


そしてスープ ド ポワソン “ラ クレリエール”。濃厚で深い味がするブイヤベースです。


ここからお魚料理、カマスと泥ゴボウのルーロー マデラ酒の香り。高級魚のカマスですが、前菜で秋刀魚が出てきましたね。秋刀魚とカマス、2つの秋の旬を味わえるという贅沢です。


メインはジビエで、小鹿です! 鹿というと硬い印象がありますが、とても柔らかくて火入れも完璧でした。


口直しに、エルダーフラワーのゼリーとレモンのシャーベット。


デザート一品目はイチジクのコンポート使ったもので、これがとっても美味しい! 上、真ん中、底と3層になっていて、とても奥が深いデザートでした。


そしてデザートの栗のタルト。タルト生地の上に乗った栗のペーストが温かくてホクホクしています。ラムレーズンのアイスとの相性もばっちり。


最後の小菓子をつまみながらカフェ。コーヒーや紅茶、ハーブティーなどから選べます。このお店の素晴らしいところは、さらにこの後に食後のハーブティーを出してくれるところです。

19:30に入って気づいたら23:30を回っていましたが、実に楽しい金曜日の夜を過ごさせていただきました。

こちらのお店は女性受けすること間違いなしです。大事な人の記念日にぜひ使ってみてください。

2016年10月16日日曜日

インターネット接続環境強化

我が家のWi-Fiルーター (親機) とデスクトップPCに繋ぐ子機を新たに買い替えて、インターネット接続環境を強化しました。

以前の組み合わせはこちら。

親機: NEC AtermWR9500N
子機: NEC AtermWL450NU-AG

ルーターとPCはIEEE802.11nの5GHz、3ストリームで繋がっていましたので、カタログ上では最大リンク速度が450Mbps、実効リンク速度は256Mbpsでした。

インターネット上で実際に計測をしてみると、上下ともに100Mbps~150Mbpsぐらいしか出ていませんでした。親回線は上下1Gbpsの光回線ですので、ほぼ10分の1ですね。

我が家にはPCが3台 (デスクトップ1台、ノート2台)、スマホが2台あるのですが、デスクトップPC以外はすべてWi-fiの最新規格であるIEEE802.11acに対応しているため、家庭内のインターネット接続環境の強化を実施することにしました。

結果、新たにこれらの機器を購入しました。

親機: NEC Aterm WG2600HP
子機: ASUS USB-AC68

残念なことに、親機を購入した翌日に後継機種のAterm WG2600HP2が発表されましたが、それでも性能的には最高級なのと値段が安くなっていたので致し方なしです。

子機のASUS USB-AC68は、USBに挿すタイプでは初の3ストリーム対応ではないかと思います。理論上は最大1.3Gbpsで親機とは繋がり、ルーター側の実効リンク速度が最大で約1.1Gbpsとなります。


実際に繋いでみますと、部屋のドアを開けている状態で1.3Gbpsでリンクします。また、部屋のドアを閉めた状態でも、877~975Mbpsでリンクしますので、以前の2~3倍のリンク速度です。

肝心のインターネット上の速度をGoogle ChromeのエクステンションであるSpeedtest by Ooklaで調べてみました。


上りが289.8Mbps、下りが323.46Mbpsと、こちらも以前の2倍強~3倍高速になりました。実際にYouTubeの4K/60fps映像も非常に快適に再生ができます。データ通信量がそこまで多くないFFXIVでは違いがわかりません。

皆さんも、ぜひ光回線をご利用しているようであれば、家庭内の無線環境についても見直してみて、必要に応じて強化してみてください。案外忘れがちで、かつボトルネックになっている場合があります。

そういえば11月10日に発売されるPS4 Pro、そして既に発売されているPS4 SlimもWi-FiがIEEE802.11nからIEEE802.11acに強化されているようですね。2ストリームだと思いますので、リンク速度は300Mbpsから867Mbpsと倍以上に強化されています。

実は私はFFXIV、FFXV用にPS4 Proを予約してしまいました。11月10日が楽しみです。

PS4 Proはストレージ用のインターフェースもSerial ATA 6Gbpsに強化されて、インターフェースのリンク速度は倍になりましたので、SSHDやSSDへの換装による恩恵がより顕著に出るのではないかと思います。

我が家の同居人にもFFXIVを遊ばせて、MMORPGへの理解を深めてもらおうと思います(-_-;)

とはいえ、11月末から12月はFFXV三昧になりそうではあります。マイクロソフト時代に少しだけ一緒に仕事をさせていただいたこともあり、個人的にディレクターの田畑さん、宣伝プロデューサーの大藤さんを応援しているのもありますが、FFXVは本当に楽しみです。

2016年10月15日土曜日

近況ご報告

またしても久々の更新になってしまいました。書きたいことはたくさんあるのに、まとまった時間をなかなか取れないのがブログ更新が停滞している一番の理由ですが、FacebookInstagramTwitterという3つのSNSを更新しながら、最近はNewsPicksにもハマり始めてしまったのも原因かもしれません。

さて、前回のエントリーに書いた通り、8月26日 (金) を最終出社日として、8年8ヶ月勤めた日本マイクロソフトを退職しましたが、休む間もなく翌週の月曜日、8月29日から株式会社エクスチェンジコーポレーションにて、決済サービス「Paidy (ペイディー)」のマーケティングを統括する部門長として働き始めています。

Paidy コンビニ翌月払い

まだ1ヵ月と少ししか働いていませんが、部門長としてマーケティング部門を立て直し、マーケティング統括としてPaidyを導入する加盟店を増やすための中・長期的なマーケティングプランを策定、そして自社が行う広告・宣伝活動から、加盟店との共同プロモーション活動を前線指揮するという3つの役割を担っています。

会社は設立からまだ8年、決済サービスのPaidyはサービス開始からまだ2年。スタートアップ企業ということで、社員数は全世界規模で見るとマイクロソフトの約4000分の1、オフィスもビルの1フロアの3分の2を占める程度の大きさ、何よりマイクロソフトでは完璧に整備されていた制度や仕組みがなく、最初の3週間はストレスでずっと胃腸を壊していました (笑

幸い営業統括をしているマネージャーがアップル出身の面白い男で、かつての競合同士で話も合うので、意気投合して楽しく仕事をさせてもらっています。

会社は大きなゴールに向かって今猛進していますが、私の中ではまずはこの1年から2年勝負をしてみて、今後の身の振り方を考えようと思っています。有難いことに、マイクロソフトの先輩、同僚たちからは「いつでも戻っておいで」と温かい声をいただいておりますし、私もマイクロソフトが、Windowsが大好きです。

さて、FFXIVも少しずつ最近遊んでいまして、パッチ3.4のメインストーリーをクリアしました。メインストーリーは本当によくできていて、ムービーや台詞は一切スキップせず楽しませていただいています。次々と新しい展開があるメインストーリーを進めるだけでも、このゲームを遊ぶ意義はあると思います。

ちなみにFFXIV以外にも時々Forza Motorsports 6 Apexなんかを遊んでいます。無料というのが信じられないくらい遊べます。


操作性を考えるとゲームパッドではなくハンドルコントローラーが欲しいですが、なんといってもDirectX 12対応の超美麗なグラフィックスで描かれる現実と勘違いしそうな世界にのめり込みます。家のディスプレイはフルHD (1920 x 1080) までしか表示できないのですが、できればWQHD (2560 x 1440) かUHD (3840 x 2160) 対応のディスプレイが欲しいです。

GeForce GTX 1080だと、おそらくWQHDまでなら、グラフィックオプションを最高にしても、常時60fpsをキープできるような気がします。

話をFFXIVに戻して、年末のファンフェスのチケットが当選しました。もう購入済みです。

2日通し券なので、可能であれば2日間どちらも行きたいと思いますが、クリスマスイブとクリスマス当日なんですよね...(汗

彼女・彼氏がFFXIVに興味のない人だとさすがに同伴では連れていけないですし、かといって彼女・彼氏を無視して自分だけ行くわけにもいきません。正直ちょっとこの日程はないよなぁと思いました。

前のファンフェスでは、フロントライン繋がりの仲間たちと夜焼肉矢澤で焼肉オフ会をやりましたが、今年ももし知り合いで行く方がいらっしゃれば、何か企画したいと思います。遠慮なくお声がけください。

肝心のフロントラインは、ことGaiaに関する限り砕氷戦になって以前の常連さんたちが離れて人が減り、パッチ3.4以降完全に過疎っているようですね。昔も新しいパッチが出るたびに一時的に人は減っていましたが、ここまでではなかったと思います。

フィーストについても、Twitterでイフ鯖のCrip君が嘆いていましたが、あれだけ開発にコストをかけた割に最近の人の入りはどうなのでしょうか。

フォーラムに久々に書き込んでみると、「新規」「カジュアル」というような単語をよく拝見するのですが、そもそも単純な殴り合いではない、戦略性や戦術性も競うPvPなんて、頭のネジが緩んだハードコアな連中が、顔を真っ赤にして厳しい言葉を浴びせ合いながら遊ぶ道楽であって、そんな遊びに時間を費やせる物好きなプレーヤーなんてほとんどいません。全プレーヤーの1%も遊んでいれば良いのではないでしょうか。

所詮そういうものだと認識する必要がまずはあると思います。

ましてレイドと違って報酬もアイテムレベルの低いPvP装備やマウントぐらいしかないわけで、そんな状態でいくら新規勧誘に力を注いでも、そう簡単にPvP好きなハードコアプレーヤーには進化しないと思うのです。もちろん中には潜在的なPvPerの素質を持ったプレーヤーはいます。

成功しているレストランはリピーターが多いレストランであると言われますが、新しいお客さんを得るためにリピーターを結果的にないがしろにしたレストランは大概閉店に追い込まれています。有名店ですらこうなることが多いので、なかなか面白いです。

だからこそ、本当のPvP好きが継続して遊んでくれる、そして彼等の口から潜在的なPvP好きに対する訴求をするための仕組みや導線をまずきちんと作ってあげることが肝要だと思います。

けっきょくフロントラインも実装されて2年が経ちますが、ユーザー数は増えるどころか我らがGaiaは減少の一方ですし、新しいルールが増えても何も状況は変わっていません。新しいルールを追加するのは良いですが、費用対効果を考えると、もう少し既存のルールを磨いていくというのでも良かったのではないでしょうか。

冗談のように聞こえるかもしれませんが、制圧戦や殲滅戦が回り始めたら、人は戻ってくるような気がしてなりません。

もっとも、それ以上に日本市場でまったく新規のプレーヤーを得るようなマーケティング活動をやっているように見えないことに危惧を覚えます。

私の居るTiamat鯖は、本当にプレーヤーが減ってしまった気がします。

もちろんMMORPGとはいえ、3年前に出たタイトルなので、今から新規プレーヤーを勧誘してもそう簡単にはプレーヤー数は増やせないと思いますが、それでも最近周りがどんどん寂しくなってきているように感じてなりません。

もちろんユーザーの伸びが期待できない国に投資するのは無駄なので、北米をはじめプレーヤーの数が伸びそうな国に集中投資するのはありだと思いますが、まだまだFFXIVの認知度は日本では全然低いと思います。

ためしに (ゲーマー以外の人も含む) 周りの人に聞いてみてください。全然キャズムを超えていないということがよくわかると思います。MMORPGというマイナーなジャンルなので致し方ないかもしれませんが、シングルプレーヤーのRPGとはいえ、FFXVはかなり一般人にも認知されているように感じます。

スマホ向けゲームのように、短期的に広告宣伝に集中投資をして、短期間で回収するというモデルを真似る必要はないにせよ、予算も潤沢なんだろうし、もう少し定常的にやれることがあるんじゃないかとマーケッター視点ではついつい思ってしまうんですよね。余計なお世話かもしれませんが(-_-;)

僕個人はFFXIVの世界が好きですし、祖堅さんの曲が何より好きなので、今後も外から応援していこうと思います。何よりFFXIVで知り合った仲間が遊んでいる以上は、できる限り続けていきたいなと。随分減ってしまいましたけれど...

長くなりましたが、最後に新しい拡張パックの話が出てきました。

「FFXIV」新拡張パック第2弾「FFXIV: 紅蓮のリベレーター」詳報

PS3のサポートがとうとう終わり、PCも最低動作環境が引き上げられるようです。おそらくそれに伴いゲーム側もグラフィックスをはじめ、進化していくのだと思います。良いことですね。

10年間続くとはいえ、都度都度プラットフォームは進化をさせていかないと、古いゲームというレッテルを貼られてしまいます。

PCのスペックは向上し続け、ディスプレイはフルHDからWQHD、4Kに進化していきますし、コンソールもPS4 Proが出ます。おそらくその3年後ぐらいにまたPS4は上位モデルが出るのではないでしょうか。今後はPS4を標準に、PS4 ProやハイスペックPC向けの進化を続けて欲しいです。

2016年8月28日日曜日

我がマイクロソフト人生に一片の悔いなし!

金曜日が最終出社日でした。形式的には今日までは日本マイクロソフトに在籍しているので、まだ会社のメールを見たり、やり残した仕事を家でやっていたりします。


金曜日の17:15から、私の卒業セレモニーを行っていただきました。通常金曜日は在宅勤務の方が多いのでオフィスには人が少なく、また月末なのでOEM営業、量販店営業の皆さんともに大変忙しいのですが、たくさんの方にご参加をいただいて門出を祝っていただきました。

正直感無量で泣きそうだったのですが、必死に涙をこらえ、最後のスピーチも淡々と話しました。


最後にお世話になったコンシューマー&パートナーグループ (CCG)、OEM統括本部、そしてWindows本部の仲間たちから寄せ書きをいただきました。家に帰ってすべて拝見しましたが、この時は涙が出ました。


デベロッパーエバンジェリズム統括本部の皆さんからも寄せ書きをいただいたのですが、封筒は親友で、日本マイクロソフトの中でもトップエバンジェリストのひとりである高橋忍さんが作ってくれました。


そして有志の皆様からいただいたお菓子。GENDYのプレミアムビターキャラメルバーです。これがとてもおいしい!

そのほかに、数万円分の商品券もいただいてしまい、本当に感謝感謝です。

あらためて振り返ってみると、日本マイクロソフトの8年8か月間は、得難い素晴らしい経験をさせていただき、たくさん成長することができました。2008年1月の初出社日は、本当に右も左もわからない新人で、人前で話すこともできず、ろくにマーケティングを語ることもできませんでしたので。

明日からは新しい会社でさっそく仕事が始まりますが、今後とも私はWindowsに100%コミットします。そして自称「VAIOのアンバサダー」として、VAIOも応援していきます。そしてFFXIVにも少し時間を割きます(-_-;)

今後とも公私共にお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

2016年8月8日月曜日

「Windowsバカ」卒業のお知らせ

親愛なる読者の皆様、フォロワーの皆様、

突然の発表で大変恐縮ですが、このたび8月末をもちまして、8年8ヶ月勤めた日本マイクロソフト株式会社を卒業することになりました。最終出社日は8月26日 (金) になります。

公式ブログに突然登場したり、日本時間の8月3日にWindows 10 Anniversary Updateが公開され、Windows陣営がこれから年末商戦に向けて新しいデバイスと共に盛り上がっていくこのタイミングで、「なぜあのWindowsバカが!?」と思われる方が多いかもしれません。

昨年9月に異動してからは、仕事の絶対量が増え、本来のマーケティングよりオペレーションの仕事の割合が増大し、たしかに肉体的にも精神的にもキツくなったのは事実です。

が、そこは大好きなWindowsの、そしてWindowsデバイスの仕事なので、何ら問題ではありませんでした。むしろ、我々にライセンスをお支払いいただいているOEMパートナー様と直接一緒に仕事ができ、Windowsビジネスの根幹を最前線で見ることができる貴重なポジションなので、この上ないやりがいを感じて、高いモチベーションを保って仕事をしていました。

もともと今から20年前、私がアメリカの田舎の州立大学でコンピューターサイエンスを学んでいたころ、当時はWintelが世界を席巻していて、将来はインテルかマイクロソフトのどちらかに就職したいと思っていました。結果的にそれを私が立てた予定より8年も早く達成はしたものの、このままあと10年ぐらい、できれば定年までは日本マイクロソフトで働きたいと思っていました。

それでもこのタイミングで転職を決意。決して何か会社でやらかしたわけでも、クビになったわけでもありません。それはまたしても突然の出会いがきっかけでしたが、自分の意志です。

私も今年で42歳、いろいろな方に言われるのですが、40代は人生で一番脂がのっている時期で、ここで何をしたかがその後の人生、定年するまでの50代、60代の人生とその後リタイアしてからの人生を決めるのだそうです。

このままマーケティングのスペシャリストとして、慣れ親しんだ環境、そして巨大でそう簡単に潰れることもない恵まれた会社で仕事を続けて、さらに経験を積んで仕事のクオリティを高めていくのも良いでしょう。

しかし私自身、今後私がさらに上に昇るために、プレーヤーとしての能力を高めることも大事ですが、マネージャーとして、規模の大小はどうあれ組織を率いてチームとしての成果を出す、そして本社や上の人が決めたことを現場で実践する役になるのではなく、自分で戦略・戦術を決めることをする役になりたいと常々思っていました。

今回まさにそれに相応しい仕事をいただきました。

来月 (正式には8月29日) からは、Fintech業界のスタートアップ企業において、マーケティング活動全般の推進とマーケティング組織全般の統括を部門長として担うことになります。

サービスは去年立ち上がったばかり、マーケティング活動も効果的に行えていないようで、非常に責任は重いです。ただ、転職を決めるきっかけになったそのサービスは、非常に将来有望なものだと私は判断しました。技術的にはシンプルですが、どうして今まで誰もここに目を付けなかったのだろうという類のものです。

マイクロソフトを辞めても、私は引き続き「Windowsバカ」であり続けるつもりです。なぜならば、これまで21年もの間Windows (Windows 3.1からWindows 10まで) のお世話になっており、Windowsのおかげでさまざまなことができるようになり、ここまで来ることができたからです。

Windowsの製品部時代にもWindows 7から8、8.1、そして10と4つのバージョンのWindowsのラウンチに携わっています。前CEOのスティーブ・バルマーが、かつて「Windows is the air we breathe!」と言っていましたが、私にとってはまさにその通りです。これからもWindowsを応援し続けます。

マイクロソフト人生を振り返ると、本当にいろいろなことがありました。

一途なただの情熱の塊、マーケティングの才能も大してなく、当時の実力では絶対に入れないはずでしたが、2007年12月に後に私の上長となる藤本さん (現PayPal、Chief Marketing Officer) との生涯忘れることのない面接で意気投合し、入れていただきました。

最初はWindows Live OneCareというWindowsブランドのついたセキュリティ対策製品のプロダクトマネージャーを務め、負の遺産を処理しながら昨対で売り上げを+120%ぐらいに伸ばし、単月でも予算達成をしてノリにノッてきたところで無念の販売終了。本社のGMとの電話会議は心の中で涙を流していました。

その後Windowsのコンシューマーマーケティングをやりつつ、Internet Explorer 8の製品担当を兼務。Windows 7のラウンチ前は、48時間ほぼ寝ないでヨドバシAkibaのWindows 7発売イベントに参加し、矢口真里さんと共演。プレジデントのスティーブン・シノフスキー (通称:シノ様) の御前でのデモは震えました。


その後IE9、10とIEの専任担当になり、全世界でChrome、Firefoxにブラウザーのシェアを奪われる中、日本だけは9割近いシェアを3年間に渡り堅持して、おかげで賞もたくさんいただきました。

社内でもコンシューマー系だけではなく、法人部門の人たちとも一緒に仕事ができて、丸の内の大企業のエグゼクティブの前で説明をするというような貴重な体験もさせていただきましたし、社外でもいろいろなオンラインのパートナー様と知り合うことができました。スクウェア・エニックスさん (現FFXVの宣伝担当の大藤さん) とも初めてこの時期に仕事をさせていただきました。

Windows 8.1からは、それまでWindowsのラウンチを率いていた私の師匠である大先輩が異動され、Windows 8.1、およびWindows 8.1 Updateのラウンチを代わりに担当しました。Windowsタブレットが一気にシェアを伸ばし、Windows XPのサポート終了に伴う特需等、良い経験をさせてもらいました。

このブログの読者のほとんどはFFXIVプレーヤーの方だと思いますが、吉田さんをはじめとするFFXIVチームと一緒に仕事をさせていただくことになったものこの時期です。

決して忘れることのない2013年4月27、28日のニコニコ超会議2。でもそれ以上に痺れたのが、2013年7月にWindows Updateで配信された定例のセキュリティ更新プログラムの副作用で、8月27日にサービスインするFFXIVのオープニング映像が半分切れてしまうという問題を起こしたことです。

当時社長の樋口さん (現会長) のお力も借りて、本社に修正プログラムを通常有り得ないスケジュールで、無事サービスイン前に出させました。「新生するFFXIVをWindowsのせいで絶対にコケさせてはならない」と、関係者の前で何度も言った気がします。

Windows 10のラウンチ直前に母を亡くし、私自身も精神的、肉体的にも辛くなってきて、この時に外部から良い転職のお話をいただき、一度は転職を考えたりしました。が、同時期に今の部署にお誘いをいただき、Windows 10のラウンチ後になりますが、昨年9月に異動を決意しました。

今の部署は組織としては営業部隊で、私はその部隊と一緒に動くマーケティング担当です。マイクロソフト的な呼び方をすれば、「チャネルマーケティング」とか「セグメントマーケティング」になるのでしょうか。

本流から離れてからも、OEMパートナーの皆様、メディアの皆様とは定期的に食事会やディスカッションを行う機会をいただいて、PC業界の今後について非常に濃い会話ができたと思っています。

また、ユーザーの皆様ともFacebookやTwitterでたくさんお話しをすることができて、生の声が聞けたことは良かったと思います。私自身も常に現場の声をなるべく聞きたいと思っていて、それで店頭イベント等にも積極的に参加をしています。

長くなりましたが、マイクロソフトという会社は本当に素晴らしい良い会社です。福利厚生は日本の一流企業に若干劣るかもしれませんが、最高のIT環境があり、在宅勤務等柔軟な勤務体系があり、そして評価も360°評価で公平です。人をとても大事にしています。

最強エバンジェリストの西脇さん、プレゼンの神様の澤さん、テクニカルエバンジェリストの鑑の高橋忍さんをはじめ、学ぶべき優秀な人もたくさんいます。そして新人だろうが彼等とフランクに会話をすることができて、いろいろなスキルを学ぶことができます。積極性が肝要ですが、自分次第でいくらでも能力を高めていくことができます。

新卒入社・転職は決して簡単ではありませんが、志のある方はぜひ目指してみてください。学歴は気にする必要はありません。なぜなら大学中退の私ですら、ここまで来れたからです。この会社でもっとも必要な資質は「Passion」です。

私の後任もまだ決まっていませんし、社内には候補が見つかりそうにないので、社外から募集することになりそうです。英語は必須ですが、Windows、そしてWindowsデバイスに対する熱い思いがある人は挑戦してみてください。8月26日までなら、私が推薦することもできます。

まだ有給休暇が50日近く残っていますが、最終出社日までほとんど毎日出社をすることになりそうです。とはいえ、仕事のペースは落としていき、エオルゼアにもまた復帰しようと思います。早くメインストーリーを進めたいですし、フィールドオブグローリーにも参加をしたいですから。

最後に、皆様には今まで暖かい応援をいただき、本当にありがとうございました。これからも公私共にお付き合いいただければ幸いです。

2016年7月11日月曜日

KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XVを観て

久々の更新になってしまいました。前の投稿からもう3ヶ月とは...

書きたいことがたくさんあるのですが、なかなかブログに記事を書くためのまとまった時間が取れず、ここまで空白期間が増えてしまいました。

今も時間がたくさんあるわけではないのですが、忘れないうちに書いておこうと思います。

KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XVを本日六本木ヒルズのTOHOシネマズで観てきました。平日ということもあって、人はそこまで多くはありませんでした。


映画館ではこのルナフレーナ様色紙をいただきました。

さて、いきなり結論。これは観た方が良いです。スクエニさんの底力を感じました。YAHOO JAPAN! 映画のレビューを見ても非常に高評価ですね。

まずド迫力の映像。

かつてFINAL FANTASY VII ADVENT CHILDREN (以下 "FFVIIAC") を観たときも、当時としてはその凄まじいCGのクオリティや動きに驚愕したものですが、KINGSGLAIVEはFFVIIACを過去に置き去りにしてしまうぐらいの半端ないクオリティでした。人が、街が、風景がリアル過ぎます。ちなみに画面はシネスコサイズです。

この映画、一体どのぐらい制作期間と費用がかかっているのだろうと素直に思ってしまいましたし、逆にこれでコケたら会社は大丈夫なのだろうか?とも老婆心ながら思ってしまいました。

音声はドルビーアトモスには非対応っぽいですが、上下の動きのアクションが非常に多いので、ぜひアトモス用にリマスタリングしていただいて、アトモス対応の映画館で観てみたいものです。

ストーリーは比較的わかりやすいですが、映画を観る前に公式ページでストーリーやキャラクター一覧を見ておくことをお勧めします。

3DCGはハリウッド映画がずっと先を行っていると思っていましたが、KINGSGLAIVEを見て日本もまだまだやるなと。海外での評価が楽しみですし、何よりFFXV本編そのものが楽しみです。

また、ゲームのプロモーションとしてのこの映画の位置づけも、マーケティングに携わる者としてその効果を興味深く見たいと思います。

FFXVディレクターの田端さんとは去年のBUILDの関連で、弊社の30Fで1回ご挨拶しただけですが、吉Pと並ぶ改革者として私は注目していますし、FFXVは絶対に成功して欲しいです。

全然関係ないのですが、オープニングのクレジットを見て、脚本のところに "TAKASHI HASEGAWA" を見て、えっ、あのスクエニ業務部でいつもお世話になっているはせたかさんが脚本?と勘違いしてしまったのですが、別人の長谷川隆さんなのですね。

さて、もっといろいろ書きたいのですが、もう時間がないようです。

最後に僕個人の近況について少し。近々大きな人生の転機を迎えることになりそうです。そのことはまた1ヶ月後ぐらいに書きたいと思います。

2016年4月10日日曜日

可能性の獣~ゼータからゼロへ

久々の更新になります。書きたいことはたくさんあるのに、まとまった時間を取れないとなかなか書き始めない悪い癖です。

今回も VAIO Z ネタを中心に近況などについて書いてみたいと思います。

3月16日に届いてからもうすぐ1か月。業務用のメインPCとして大活躍しています。数日前、VAIO S13 を同じく個人で購入し、会社にBYODで業務に使っている同じ部署の女性から「使い心地はどう?」と言われたのですが、返事は一言、

極上です。

ちなみにこんな比較表を作ってメールに添えてみました。


彼女は今度会社の業務用に、私と同じ VAIO Z を検討しているようです (笑

でも本当に使い勝手は極上です。PowerPoint のプレゼンテーションで使うための超高解像度の画像を Photoshop CC で編集していても、またその重い画像を一杯貼った数十MBの PowerPoint 2016 のファイルを編集していてもストレスを感じません。何よりキーボードとタッチパッドのフィット感が良くて、入力も操作も以前より圧倒的に高速です。

さて、あれから VAIO Z でいくつか気づいた点を少しまとめてみます。


こちらは「VAIO の設定」アプリにある機能で、いたわり充電という機能です。たしかSONY時代のVAIOにも搭載されていました。

リチウムイオンバッテリーは過充電と過放電を繰り返すと特性上性能がどんどん落ちていきます。詳しくはこちらの記事を見てみると良いと思いますが、これを防ぐのがいたわり充電の機能で、要するに満充電せずに80%で充電をやめるというものです。

この機能の有無でバッテリーの性能が最大50%長持ちすると言われています。最近は薄型化、軽量化のため、バッテリーを取り外せないノートPCが増えてきました。家に置きっぱなしのPCなら良いでしょうが、我々のようなモバイルワーカーにとってバッテリー性能は非常に大事ですから、こういう機能は実に有り難いです。


画像の下の方ですが、バッテリーの状態をこんな風にインジケーターで確認することもできます。


細かいことですが、VAIO Z の電源ボタンは本体右側にあります。ボタンは小さいですが、本体から出っ張ることなく配置されているので、鞄に入れていて勝手に電源が入ることはありません

たとえば Surface Pro 3 は電源ボタンが本体上部に付いていて、本体から出っ張っているため、よく鞄に入れていて勝手に電源が入り、鞄が温かいなと気づいたらもう時既に遅し。バッテリー残りゼロみたいなことがよくありました。

Surface Pro 4 では少し改善されたようですが、未だにあの位置に電源ボタンが付いているのは少々いただけません。


さて、本体背面を見てみると、"MADE IN AZUMINO JAPAN" の刻印があります。そう、VAIO Z は長野県安曇野氏の工場で設計製造されています。

どこで製造されていようがPCはPCですし、差別をする気はまったくないのですが、それでもいち日本人として考えてみると、やはり日本人が作っているものの方が嬉しいです。なぜならそこに雇用があるからです。

ちなみに前にパナソニックさんの神戸工場に訪問した際、Let's note シリーズもすべて日本で企画設計され、神戸工場ですべて製造されていると教えてもらいました。実際に製造ラインを拝見したのですが、あの臨場感は凄かったです。

企業の購買担当の方からは「純日本産」という売り文句が受け入れられていて、実際に売りに繋がっているのだそうです。機会があれば、VAIOの安曇野の向上にも一度足を運んでみたいです。


ところで、先日 Windows Insider のFast Ring向けに配信されていた Windows 10 Insider Preview のバージョン14295 (コードネーム:Redstone 1) がSlow Ring向けにも配信され、私の VAIO Z にも入ってしまいました。

Slow Ring向けに配信するぐらいだから安定しているのだろうと思いきや、これが大の地雷ビルドでした。どういうわけか省電力機能がまったく効いておらず、バッテリーが2時間ぐらいで空になる勢いでみるみる減っていき、とても仕事になりません。

ロールバックして Threshold 2 に戻しましたが、Windows ストアが英語版になってしまったり一部不具合が発生しており、一体本社の開発チームは何をやってるんだと憤慨したのでした。

私は大の Windows バカですし、本当は最新版を使いたいのですが、さすがにこれはいかんともしがたいですね。

話は少し変わって、最近はFFXIVをお休みして、信長の野望・創造 戦国立志伝を時間のある時に遊んでいます。


VAIO Z でも快適に動作をしますが、CPU に高負荷がかかるためファンがかなりうるさくなります。これは薄さを考えると致し方ないところですが、それでも素晴らしいのは、キーボード部分は決して熱くなりません。これ本当に大事。

とはいえ、背面はかなり熱くなるので、膝の上には置かない方が良いかもしれません。

残念なのが、インテルのグラフィックドライバーの不具合か、マウスカーソルを既定の DirectX に設定するとカーソルが消えて操作がほぼできなくなります。GeForce GTX 980 を搭載したデスクトップPCでは発生しないので、おそらくインテルのグラフィックドライバーの問題だと睨んでいます。

シナリオは武田信玄が死んだ後から始まる「長篠の戦」を当主の武田勝頼で始めましたが、史実通りの逆境モードです。


織田家、徳川家に西側を押さえられつつ、いずれ北条家も敵になるので、まずはこのイベント戦に絶対に勝利をしなければなりません。

上の動画は私のアップした動画です。けっこう見られていて驚いています。

勝利をすると徳川家が従属 (= 実質味方になる) し、以降大幅に進めやすくなります。

とはいえ、上杉家の家督争いである御館の乱が発生すると北条家が一時的に敵になる (※その後また仲直りは可能です) ため、織田・北条と二正面作戦になるのは変わりません。それでいて織田家のラッシュが凄い凄い。

武田家も能力の高い武将が多いですが、織田家は領地も多く、またその領地が史実のように富んでいるので、国力の差がいかんともし難いです。


それでもようやく天下統一をしました。武田勝頼ほぼ60歳 (汗 歴史を変えられて良かったですが、初見プレイでしたのでいろいろ下手を打ったものです。

戦いの中で武田勝頼は父を超える圧倒的な強さに化けましたが、それに劣らず真田家がチート性能でした。

それにしても相変わらず信長の野望シリーズはAIがおバカすぎます。内政で優先順位を付けたり、移動の際どこ経由で移動するかなど、設定できると良いのですが。

またUIも昔から変わらない設計のままで、必要な情報にアクセスするのに非常にフラストレーションが溜まります。

話を VAIO Z に戻しましょう。

総合すると私は非常に VAIO Z に満足しているわけですが、いろいろと注文もあります。


まずは価格でしょうか。上の比較は競合する Macbook Air 13、Macbook Pro 13 をそれぞれ最高スペックにして購入した際の比較になります。

後発なのでもちろん総合性能では上回っているのですが、せめて Macbook Pro 13 とは同じ価格にしてガチで戦って欲しいとは思います。

Windows PCの中でシェアを奪い合うのは生き残るためには必要ですが、日本でのシェアはまだ全然少ないとはいえ、ぜひMacからシェアを奪ってもらいたいです。

Apple信者はMacからWindows PCには絶対に乗り換えませんが、Mac購買層の半分はいわゆる「なんとなくMacを買っている」層です。

もちろんシェア奪還は決して簡単ではありません。敵は強大です。製品の良し悪しだけでなく、ブランド力や製品訴求の仕方、そして最終的には価格でも勝たないといけません。SurfaceはMacを意識して、対Macの製品訴求をしていますが、みんなでやらないと意味はないと思います。

ハードウェアのスペックに関しては満足していますが、やっぱり VAIO Z には4C8T (4コア8スレッド) の Core i7 が用意されていて欲しいです。

モバイル向けで4C8TになるとTDPが45Wになってしまいますが、TDP-downで35Wで何とかならないものでしょうか... きっと Core i7-6870HQ が載った日には狂喜します。Skylake世代では無理でも、次の世代ではぜひ検討して欲しいです。

あと、百式使いにはこんなギミックがまた欲しくなるでしょう。私も外付けボックスの Power Media Dock (金色) を持っていましたから。


ニッチ向けであることはわかっていますので、半分冗談で聞いて欲しいとは思います (汗 ただ、RAZOR BLADE STEALTH って、とてもセクシーなノートですよね。


あとは液晶パネル。アスペクト比16:9でも良いとは思うのですが、できれば縦が長い16:10や3:2でがExcel使いには嬉しいかなと。一眼で撮った写真をフルスクリーンで観る際もそうですね。


そして、もしタッチ非対応もモデルであれば、DELL XPS 13のようなフレームレスデザインが美しいですね。ショック耐性を考えたとき大丈夫かとは思いますが、筐体をコンパクトにできるのは大きいです。

重さに関しては、これだけ詰め込んで1.17kgというのはもう感動レベルなわけですが、ぜひパフォーマンスとバッテリー性能を落とさず、1.10kg未満を目指して欲しいです。たとえば Let's note SZ5 なんかは薄くはありませんが、12.5インチとはいえ1.00kgを切っていて、持つと凄さがわかります。


最後に、勝色ダブルアルマイト仕様は絶対に止めてはいけないと思います。

社内には Surface Pro 4 をBYODしている人がけっこういるのですが、このロゴが印籠のように輝くので、Surfaceユーザーの前で臆することなく自信満々に VAIO Z を持ち出せます。持つ喜びは重要だと思いますし、ブランドの一貫性を保つためにも今後も続けて欲しいです。

あとは製品ページの作りでしょうか。先日 Samsung Galaxy TabPro S の製品ページを拝見しましたが、とても美しいサイトで驚きました。

Appleっぽいって言われるかもしれませんが、大事なのはサイトのデザインが製品そのものの高級感を演出していること、そして360°の製品ビューがあることです。

我々の調査だと、さまざまなアングルからの製品写真があり、また動画が載っているだけでコンバージョンが大きく上がることがわかっています。これに製品レビューが加わると、かなり恐ろしいコンバージョンになります。

最後に、すっかり気に入ってしまったテレビ版ガンダムUCのオープニング曲。澤野さんは神です。


前の日記で、今度の "Z" は "Zeta" であると説きました。次の "Z" は RX-0 の "Zero" になって欲しいです。そう、あの可能性の獣に。

PCとはそもそも何なのでしょうか。

PCはツールです。人々の欲求を満たしてくれるツールであり、人々の可能性や潜在能力をを形に変えてくれるツールであり、職人が良い仕事をするためのツールです。

良いツールを持っているから良い仕事ができるわけではないのかもしれませんが、その逆はあって、良い仕事をしている人は大抵良いツールを持っています。鮨職人が包丁にこだわるように、PCを使う会社員もPCに拘りたいし、拘らなければいけません。ホワイトカラーの会社員だって職人です。

スマホやタブレットでPCを代用できるなんて平気で言われていて正直悔しいですが、前者は所詮情報を消費するだけのデバイスであって、可能性を開いてくれる真のデバイスはPCであることをぜひ追及していって欲しいですね。

まとまりもなく長くなってしまいましたが、長年使い続けてきたVAIOにはやはり特別な思いがあります。

2016年3月21日月曜日

Zの鼓動

最初にお断りしておきますが、今回の記事は非常に長いです。内容としては新しく買ったPCのレビューになります。

実は3年前に会社から支給された業務用ノートPC (Windows 8 搭載) の調子が最近非常に悪くなってきて、毎日イライラが募っていました。

具体的にはすべての動作が遅く、重い。たとえばシャットダウンにかかる時間がほぼ毎回240秒~300秒ぐらいかかり、よく使うアプリケーションである Outlook 2016 や PowerPoint 2016、Excel 2016 のファイルを開く、保存するのもしかり、それらの編集のために文字を入力する、ピボットテーブルで膨大な数字を管理する、画像を挿入する、エフェクトをかけるのも、自宅のデスクトップPCと比べて大幅に待たされます。

一番使うWebブラウザーですら、ブラウザーの起動時間をはじめ、リンクをクリックしてからページが開くまでに通信速度とは関係ないと思われる遅延があり、明らかに生産性が落ちています。

とはいえこのPC、スペックは決して低くはありません。某メーカーの当時の最新モデルをマイクロソフト特注仕様にハードウェアをアップグレードしていて、CPU に第3世代 (IvyBridge) のモバイル用 Core i7、メモリー8GB、256GBのSSDを搭載しています。じっさい Windows 8/8.1 時代はとても快適に動いていた気がします。

今は Windows 10 になっていますが、急激に遅くなってきたと感じ始めたのは数ヶ月ぐらい前からでしょうか。メーカー側では Windows 10 用のデバイスドライバーをきちんと配布されていて、Windows 10 動作対象機種にもなっているようです。何度も Windows 10 をクリーンインストールしてはデバイスドライバー等も正しい手順で導入しているのですが、時間が経つにつれて動作が重くなってきます。

ちなみにバッテリーだけは3年間もハードに使い込んでいるものですから、かなり消耗してきています。今では2時間持てば良いほうです。

前置きが長くなりました。そんなこんなで、今回自腹で新しいPCを購入してしまいました。

会社では3年に1回のサイクルでPCを新規に購入してもらえるので、上長にお願いすれば部署の予算で購入することはできます。しかし、会社の予算で買う場合は会社が定めた一部のモデルしか買うことができません。ちなみに、Surface Pro 4 や Surface Book は私の記憶ではまだ選べなかったはずです。

幸いマイクロソフトではBYODが許されていて、個人で買ったPCも一定のハードウェア条件とセキュリティ条件を満たしていれば社内ネットワークに入ることができます。

そこで購入したPCはこれです。


最新の VAIO Z。会社ではタッチ対応のノート、もしくは「2in1」と呼ばれる、タブレットにもノートPCにもなるフォームファクターを推奨しているのですが、2in1になるフリップモデルではなく今回から新しく投入されたクラムシェルモデルを選択しました。

私の仲の良い同僚で、元SONYのエンジニアが「VAIO Z はクラムシェルであるべき」と言っていましたが、なによりフリップモデルより180g軽く、動作時間も最長7時間延びるのが魅力的でした。

私が業務用PCに求める条件はこの4つです。
  1. ありとあらゆる動作が高速で、ユーザーにストレスを感じさせないこと。
  2. 1日の就労時間中ほとんど (= 最低7時間) 充電なしでも動作すること。
  3. 1と2を満たしつつ、持ち運びで疲れないよう軽量であること。
  4. メモリー16GB搭載のモデルを選べること。
VAIO Z 以外でこれらの条件を満たせるモデルはコンシューマー向けのモデルではほとんどなく、強いて言えば Surface Pro 4 ぐらいでしょうか。とはいえ、私の所属している部署柄 Surface Pro 4 を選ぶことはできませんし、動作時間の点で若干心配でした。


こちらの写真、3年以上前に我が家で撮影した写真ですが、まだSONY時代の VAIO Zです。カラーリングから「百式」と呼ばれるモデルです。

何を隠そう私は VAIO Z の大ファンなのです。

自宅のメインPCはもう10数年の間自作機のデスクトップですが、常々BYODのためにノートPCもサブPCとして所有していました。百式が数えて3台目の VAIO Z。

今回買ったクラムシェルモデルは実に4台目の「Z」になり、VAIOがSONYから離れてVAIO株式会社となってから、私が初めて買った「Z」になります。

VAIO Z は昔からハイエンドユーザーのためのノートPCで、その代わり革新的なハードウェアスペックでユーザーを満足させてきました。今回のZは果たして私を満足させることができたのか。それでは見ていきましょう。


開封の儀。茶色い段ボール箱を開けると、中からVAIOロゴの入った黒い段ボール箱が出現します。


黒い段ボール箱の中を開けてみると、そこには保護シートにくるまれた VAIO Z の本体が眠っていました。


下の段にはマニュアル類やACアダプターが入っています。


こちらはACアダプター。写真を見ていただくとわかる通り、USBポートが1ポートアダプター上に実装されていて、PCを充電しながらスマートフォンを充電することができます。これで VAIO Z を持ち運ぶ際はスマートフォンのACアダプターは不要で、USBケーブルだけ用意すれば良いというわけです。


ACアダプターのDC-IN端子は若干工夫がしてあって、PCの差し込む時に先がパチンと引っ掛かります。これはおそらく脱落防止のため、もしくは脱落時にすぐユーザーが気付くようにこのような仕様にしていると思います。なるほどと感心しました。


これはSONY時代からお馴染みの、VAIO印の入ったクリーニングクロス。持ち運ぶ時は、キーボードの上に敷いておくとディスプレイの保護もできます。


ディスプレイを立てると、本体が持ち上がって傾斜が付きます。たとえば Surface Pro 4 のタイプカバーは角度が急すぎてややタイプしづらいのですが、VAIO Z の場合はちょうど良い角度で、非常にキーボードを打ちやすいです。

ちなみに液晶ディスプレイの下に突起が見えると思いますが、これが左右2か所あり、キーボードを浮かせる支持となっています。オーディオ機器のインシュレーターのようでお洒落です。


さて、天板のVAIOロゴはある仕掛けがあります。製品ページ曰く「アルマイト処理を施した天板に、さらにもう一度、特色のアルマイト処理を行うことで、Zラインの象徴となっているVAIOロゴのダイヤカット部分を鮮やかに染色。見る角度によって、VAIOロゴがコーポレートカラー「勝色」に輝きます。」とのこと。たしかに写真をご覧いただくと、青い光が出ていますね。

こういうブランド価値を高める仕掛けは非常に好印象です。たとえばMacbookシリーズも同様に中央に林檎のアイコンがあって、正面から相手がこちらを見た際にすぐそれと気づきます。


セットアップが終わって最初の画面です。解像度は2560 x 1440ピクセルのWQHD。拡大率は初期設定で200%になっていますが、これだと画面が大きすぎて作業効率が落ちるので、150%ぐらいまで私は下げています。

ちなみに液晶パネルは視野角の広いIPS方式で、画面は非常に明るく、色も鮮やか。前の業務用PCと並べてみると、その美しさに圧倒されます。スペック上でもsRGBカバー率100%で、ミラーレス一眼で撮影したRAWデータの色域を正確に再現できます。

さて、実は今この記事をまさに VAIO Z で書いているのですが、キーボードが非常によくできています。

とても快適です。

自宅のデスクトップPCは東プレのREALFORCEを使っていますが、これに慣れてしまうと、ストロークが浅く、ピッチも狭いノートPCのキーボードが使いづらくなってしまいます。実際に前の業務機ではミスタイプが多くて、ミーティングで議事録を取る際、とくに自分が発言しながら画面を見ずに議事録を取る際にすごく苦戦していました。また、前の業務機にはパームリジェクションの機能がなかったので、タッチパッドに手のひらがぶつかって、タイプ中あらぬ方向にカーソルがよく飛んでしまっていました。

これが VAIO Z のキーボードはとても打ちやすいです。本体は薄いので決してキーストロークは深くないのですが、小気味よく打てます。一般の方よりも私の手は大幅に大きいのですが、滅多にミスタイプがありません。そして新生VAIOが特にこだわっているキーボードのカチャカチャ音も大幅に低減されています。



忘れてはいけないのがタッチパッド。


VAIO Z のタッチパッドはプレシジョンタッチパッド (※これを高精度タッチパッドと翻訳するのは格好悪いと思う) に対応していて、ジェスチャーを使っていろいろな操作ができます。スクロールだったりアプリ切り替え、そしてピンチで拡大縮小など。

これがあると、無理に画面にタッチパネルを付けなくても良いと思ってしまうほど便利です。

加えて、もう2つほど VAIO Z を称賛したいことがあります。

1つ目は余計なソフトが一切入っていないこと。


プリインストールされているのは、この「VAIO の設定」のみです。よくありがちな他社製セキュリティ対策ソフトすら導入されておらず、デスクトップにマカフィー製セキュリティ対策ソフトへのリンクアイコンがあるだけです。

セキュリティの心配をする方がいるかもしれませんが、Windows 10 には同等の機能を提供する Windows Defender がありますので、基本心配は要りません。私は他社製セキュリティ対策ソフトはここ10年間まったく使っていません。もちろんウイルス感染の経験もありません。

SONY時代のVAIOにはいろいろなアプリケーションが入っていました。便利なものもありましたが、一方で起動時間をはじめパフォーマンスの妨げにもなっていて、巷ではこういうアプリを「クラップウェア」と呼んでいたりもします。

もちろんこれについては賛否両論ですが、同様にプリインストールされているアプリケーションがほとんどない Surface シリーズがどうして支持されているのかを調べてみると、私にとっては不要なものはないほうが良いです。

もう1つは最初から導入されているデバイスドライバーがすべてサポートサイト上で提供されていることです。またそのほとんどは Windows Update 経由で導入されます。


というのも、元々は Windows 10 Home を導入して出荷されていたのですが、会社ではドメインに参加しなければいけないため、また DirectAccess やその他の企業向けの機能を使うには、Windows 10 Enterprise を導入する必要があります。

私はクリーンインストールが好きなので、デバイスドライバ類をメーカーが個別に用意してくれない場合は面倒ごとが増えて嫌なのですが、おかげさまで非常に移行が簡単でした。ぜひ今後も最新のデバイスドライバがハードウェアベンダーからリリースされたら、提供を続けていただき、頻繁にメンテナンスをしてほしいと思います。それがユーザーのロイヤリティを向上させ、ファンの心をがっちり掴みます。

長くなりましたね。それではここからはスペックについて書いていきます。


CPUは第6世代 (Skylake) の Core i7-6567U を搭載しています。デュアルコアのモバイル用 Core シリーズ (Uシリーズ) では現在最速のプロセッサーで、これを搭載しているノートPCはほとんど見ません。というのも、他のUシリーズがTDP 15Wであるのに対し、Core i7-6567U はTDP 28W。熱設計が難しくなるからです。

VAIO Z シリーズといえば4コアのCore i7シリーズを代々使うものと思っていたので、若干拍子抜けしてはいます。が、4コアになるとTDPは45W、さすがにモバイル用途では厳しかったのでしょう。

動作は非常に快適ですが、唯一残念なのが、YouTubeの4K動画をChromeで見るとCPUの処理が追い付かずにコマ落ちが発生することです。自宅のデスクトップPCは4コア8スレッドのCore i7-4771ですが、こちらではスムーズに再生されます。もっとも、ブラウザーをMicrosoft Edgeにすれば、DXVA2によるGPUの動画再生支援が効いてスムーズに再生されます。


メモリーはLPDDR3-1866でした。第6世代Coreプロセッサー (以下 "Skylake") はDDR4メモリーをサポートするので、最高最速を目指すならDDR4にして欲しいところですが、モバイル用のLPDDR4のサポートが Skylake では間に合わなかったので、これは致し方ないでしょう。

容量は16GBあります。仕事中はブラウザーでタブをたっぷり開きながら、1つ50MBくらいあるPowerPointを編集しつつ、PhotoshopでPowerPointに使う画像を加工していたりするので、もはや8GBでは足りません。


ちなみに Core i7-6567U のGPUは Intel Iris Graphics 550 といって、実行ユニット (EU) が普及モデルの倍の48ユニットあり、また高速な4次キャッシュメモリーが64MB搭載されています。ただでさえAMDやNVIDIAの外付けGPUより性能が劣るiGPUですが、2コアのモバイル用Core i7プロセッサーでは最速のGPUを積んでいるおかげでグラフィック処理も快適です。


そして驚愕性能のSSD。現行最速のSamsung製SM951が搭載されています。あの「究極の一台」をうたうSurface Bookですら、SSDはワンランク下のPM951を搭載していますので、まさにしてやったりでしょうか。


こちらは我が家のデスクトップ機のSSD。Samsung製のSSD 840 Proです。SATAですのでこれが限界ですが、これでも十分に速いのです。もうHDDには戻れませんね。

その他の性能比較についても、ITmediaに面白い記事があるのでぜひ読んでみてください。

「Surface Book」徹底検証――37万円の最上位機はどれだけ速い? (1/7)
http://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1603/09/news070.html

Surface Bookの記事ですが、一部のグラフィック以外のすべてのベンチマークで VAIO Z のクラムシェルモデルが1位になっています。

価格でいえばフルスペックにしても30万円ちょい。タッチやペンがありませんが、それらが不要な人にとっては最高のノートPCでしょう。なにより冒頭挙げた4つの条件を満たすノートPCは、世の中にこれ1台だけです。

決してコンシューマー向けのモデルではなく、間違ってもFFXIV用に買ってはいけません。あくまで本気で仕事をするビジネスマンや、マイクロソフトが提唱する「フレキシブルワークスタイル」のように、仕事場を選ばないでどこでも同じ効率で仕事をしたいと思っている方が買うべき製品です。

ビジネス向けではありますが、それでいて美しい筐体にロゴのこだわり。スタバでただWebを眺めたり、FacebookやTwitterをちまちまやっているMacドヤラーに対して本気のPCの使い方を見せつつ、威嚇するにはもってこいのノートPCかもしれません。

VAIO開発チームの皆さんに敬意を表すとともに、こんな素晴らしいデバイスを世の中に送り出してくれたことを感謝します。ガンダムマークIIからゼータに乗り換えたカミーユ・ビダンのように、私もこれでさらなるニュータイプ能力を覚醒できるでしょう。

次にZを買うのはおそらく2~3年後になると思いますが、その世代の VAIO Z はどのような感じになっているのか今から楽しみです。

最後に、これは不具合なのか仕様なのかわかりかねていますが、時々カバーを閉じてスリープに入れたあとに復帰をすると、Wi-Fiアダプターが死んでしまいます。


VAIO Z は InstantGo に対応していて、高速にスタンバイから復帰することができるのですが、この現象に遭遇すると再起動てWi-Fiアダプターをリセットしないと使えなくなります。Windows 10 の問題なのか、それともIntel Wi-Fiのデバイスドライバーの問題なのかわかりませんが、早く治ればと思っています。